親の入院・介護、何をすればいい?

すぐにすべきこと、お金のこと、考えること【親の入院・介護】

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成年後見よりも手軽に家族が財産管理できる方法は?【親の入院・介護】

投稿日:2021年1月25日 更新日:

前項では、判断力が低下した親の財産管理を「成年後見制度」を使って行う方法を紹介しました。しかし、子が親の後見人になろうと思っても、家庭裁判所が選んでくれないケースが増えています。家族による横領事件が多発したためで、たとえ子が選ばれても、特に財産の多い親の場合は不正を監視する後見監督人がつくことが多いです。士業の後見人や後見監督人がつくと、親本人の財産から月々2〜3万円くらいの報酬を支払うことになります。

また、老人ホーム入居資金のためにと、親の不動産を処分して現金化しようと検討しても、家庭裁判所が認めないケースもあります。

そんななか、最近増えてきているのが「家族信託」を活用して、親の財産を管理する方法です。

結論

「家族信託」で親の財産管理をできる

信託とは、委託者が信頼できる人(受託者)に対してお金や土地、建物などの財産を移転するものです。受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産の管理・処分などを行います。委託者と受託者が契約書を交わせば契約が成立し、家庭裁判所などでの手続きは不要です。誰かに月々の報酬を支払う必要もありません。

解説

手続き簡単、報酬も発生しないが……

親の所有する賃貸アパートを信託契約により子に名義変更した事例です。

親は自分に介護が必要になったら、「この財産の管理・処分によって、費用にあててほしい」と子に託しました。

委託者と受益者が同一人物の場合には、贈与税などの課税はありません。信託で名義を移した場合は特例があり、不動産取得税もかからないことになっています(固定資産税は名義人に課されるため、子に課税。だが、信託契約により、親が税金分を負担するように定めることも)。

ただし、手軽なものほど注意が必要。例えば、契約書の記載が「アパートの管理」だけでは売却はできません。受託者である子が、もし親より先に亡くなったら……など素人だけで考えるのは難しい面もあるので、専門家に相談し、ぬかりなく活用したほうがいいでしょう。一般社団法人家族信託普及協会のホームページでは、専門研修を受けた会員を検索することもできます。また、現金の信託なら、手数料はかかりますが信託銀行を活用するのも一案です。

参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」

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福祉の基本は「情報収集」と「自己申告」なので、自分から動かないと事態は何も進みません。親の入院・介護に直面した時に必要な知識を私も含め、いざという時、慌てないように知識を身につけていきましょう。