年金収入のみの一人暮らしの親の場合、住民税の課税・非課税の分かれ目は、通常、年収155万円です。月あたり13万円弱ですね。
しかし、税法上の「障害者」や「寡婦」に該当する場合は、月当たり20万円ほどの年金収入があっても、住民税が非課税となる場合があります。

結論
ポイントは世帯全員が「非課税」
税金のうち、区市町村の役所に収めるものが「住民税」です。住民税は個人ごとに課されます(所得(年金を含む)が一定額より低いと課税されない)。所属する全員が住民税を払わなくていい世帯を「住民税非課税世帯」と呼びますが、こうした世帯は低所得者ということで、医療費や介護費などが大幅に軽減される仕組みになっています。
解説
例えば、両親の状況別に見ると…
- 両親二人暮らしで、2人とも年金などの所得が一定額より低く、住民税を払っていない
- →非課税世帯
- 住民税を払っている父親と、払っていない母親の二人暮らし
- →課税世帯
- 住民税を払っていない両親と、現役世代の子が同居していて同じ世帯
- →課税世帯
①と③のケースでは、親の年金額が同じでも、①には「負担軽減あり」、③には「負担軽減なし」と大きな差が生じます。そこで、同居でも世帯を分離するという方法が考えられるのです。
年金月20万円でも「非課税世帯」?
税金を払っている親のところには、毎年、日本年金機構から「扶養親族等申告書」というものが送られてきます。これは、扶養親族がいなくても、返送が必要な書類です(あるいは、確定申告をします)。税法上の「障害者」や「寡婦」に当てはまる場合は該当欄にチェックするのを忘れないようにしましょう。親がきちんと返送しているか、確認を。非課税にならなくても、税金は安くなります。
非課税世帯になれば、医療費や介護費が軽減されるだけでなく、介護保険料の負担も軽減されます。なので、今は元気な親でも、見逃すと大損です。実際、「扶養親族等申告書」の書式変更や、日本年金機構のミスなども重なり、2018年2月の年金支給分で約130万人が所得控除されずに税金を多く取られ、本来より少ない金額が支払われた問題が生じています。
本書の表紙に記載する通り、介護の基本は「自己申告」と「情報収集」です。多くの人にとって入院・介護は1回きりのことではないため、こうした自己申告を失念すると、大損失となってしまいます。
税法上の「障害者」「寡婦」に該当しないか確認
税法上の「障害者」とは
- 障害者手帳を持っている もしくは
- 介護保険の認定などで、各自治体の定める対象に該当し、「障害者控除対象者認定書」を交付されている
税法上の「寡婦」とは(以下、すべて満たしている母親)
- 夫(あなたの父親)と死別
- 再婚していない
- 合計所得金額が500万円以下
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」