病状がある程度安定しているものの、通院ができないために入院を余儀なくされることもあります。そのような場合、医師や看護師に訪問してもらうことで、在宅療養が可能になるケースもあるので検討してみましょう。
結論
昔は「往診」というスタイルがありました。現在も、往診は存在します。一方、「訪問診療」というスタイルもあります。どちらも医師が家庭を訪問するのですが、内容は違います。往診は急変時その他、患者本人や家族の要望で不定期に診に来てもらうもの、訪問診療は定期的に(例えば1週間に1回、2週間に1回など)行うものです。
なかでも、「在宅療養支援診療所」の指定を受けている医療機関は、24時間いつでも医師または看護師と連絡できる体制を築いており、患者の求めに応じて訪問。ケアマネジャーなどとも連携します。また、緊急時には、入院できるベッドも確保しています。
解説
「訪問診療」と「往診」の違い
訪問診療
定期的に訪問し、診察を行うこと
往診
突発的な病気やケガに医師が訪問すること
訪問看護でできること
- 療養上のケア(体の清拭、洗髪、入浴、排せつの介助・指導)
- かかりつけ医の指示に基づいた医療処置
- 病気や障害の状態、体温、血圧などのチェック
- 床ずれの予防や処置
- 酸素機器や人工呼吸器などの管理
- 在宅でのリハビリテーション(機能訓練)
- 認知症のケア
- 介護予防(食事や運動のアドバイス)
- ターミナルケア(在宅での終末期医療)
- 家族などへの介護支援・相談対応
「医療保険」「介護保険」を利用できる
在宅で医療にかかる場合、その訪問診療の費用は次図表の通り大きく6種類に分けられます。①〜④に関しては、医療保険による支払いが可能なため、いくら医療サービスを受けても、定められた上限額以上は支払う必要がありません。⑤⑥については、それぞれ必要に応じて支払います。③の訪問看護は、基本的に、「医療保険」と「介護保険」のどちらかを利用することとなります。利用を検討する際は、介護との連携が欠かせないので担当のケアマネジャーに相談しましょう。なお、生活保護を受けている人は、原則①〜⑥は無料です。
訪問診療の費用
医療保険での支払いが可能(上限が決まっている)
- 定期的に訪問した場合の診療費(訪問診療)
- 患者からの求めに応じ訪問した場合の診療費(往診)
- 看護師が訪問した場合の費用(訪問介護)
- 薬代や検査にかかる費用、その他特別な医療にかかる費用
場合によって支払いが発生する
- 包帯・ガーゼなどの材料費や、訪問にかかる交通費
- 介護保険サービスの費用
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」