心身機能が低下した親が在宅で生活するとなったとき、当面の「家事」や「介護」をどうするかは、子どもにとって大きな課題です。同居の場合でも、日中仕事で出てしまえば家には親だけ。そもそも別居の場合は、ずっと親だけでの生活です。遠方に暮らしているケースでは、手伝いたい気持ちはあってもそうそう親元に出かけて行くことはできません。

結論
このような場合、まず「ホームヘルプサービス」の利用を検討しましょう。入浴、排せつ、食事の介助などを行う「身体介護」と、掃除、洗濯、食事の準備などを行う「生活援助」に分かれています。介護保険制度で利用できますが、生活援助は子どもと同居している場合は対象外となるケースがあります。自治体の多くが、「同居家族がいれば、家事はその者ができる」と考えているためです。介護保険での提供が受けられない場合は、地域のボランティアサービス、民間サービスも検討しましょう。
解説
訪問介護(ホームヘルプサービス)の内容
身体介護中心
- 食事・入浴・排せつの介助
- 起床・就寝・着替えの介助
- 対位の変換、シーツの交換
- 移動、移乗、通院等の外出介助 など
生活援助中心
- 住居の掃除、洗濯
- 生活必需品の買い物
- その他、必要な家事
- 食事の準備、調理
- 薬の受け取り など
「緊急時」「入浴」などニーズに合わせた訪問も
介護保険では、従来のホームヘルプサービスが、あらかじめ利用者宅を訪問する日時、サービス内容が決められた「定時サービス」なのに対し、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」というサービスもあります。オペレーターが24時間対応し、緊急の際の通報を受け、必要に応じて介護・看護スタッフが訪問するのです。また、緊急時以外に24時間複数回の定期訪問を行い、隙間の介護や随時対応を行うものです。対象は要介護1からで、料金は要介護度別の定額制になります。
ただし、利用する場合は、事業所を限定されるなど必ずしも使い勝手がいいとはいえません。人口規模の小さな自治体では実施していない場合もあります。その他、自宅に浴槽を持ち込んでもらい入浴の援助を受ける「訪問入浴介護」や、看護師が訪問する「訪問看護」、リハビリの専門家に訪問してもらって自宅でリハビリを受ける「訪問リハビリテーション」などもあります。
定期巡回・随時対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は3つのサービスを組み合わせて提供されている。
定期巡回
必要に応じて訪問し、食事・排せつ等の身体介護や、洗濯物の片付け・身の回りの整理等の生活援助など、その時に必要なことだけサポート
随時対応
緊急時は電話連絡により24時間いつでも自宅にヘルパーが駆けつけ、必要なサービスを提供
訪問看護
看護師の定期的な訪問により、体調確認や医療処置を行い、主治医との連携により介護と医療の両面から支援を行う
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」