結論
親が通院しないのなら在宅医療も視野に
認知症の親が、病院の受診を拒んだり、持病があるのに薬をやめてしまったり、健康状態の悪化で通院が困難になったりすることがあります。通院に付き添う子も、平日に休まなければなりませんし、交通手段を確保して、診察からお薬を受け取るまで、半日以上時間を拘束されることもあります。そんなときは、医師に自宅に来てもらう在宅医療を検討してみましょう。在宅医療は在宅医、訪問看護師、訪問薬剤師、訪問歯科医師、理学療法士・作業療法士などの専門スタッフが、様々な角度から親を見守ります。在宅医療の拠点となる、24時間対応している在宅療養支援診療所を、親の家の近くで見つけましょう。在宅医の探し方ですが、まずは日頃お世話になっているかかりつけ医、包括や担当ケアマネに相談しましょう。在宅医療の相談窓口を設置している自治体や、インターネットでの検索も可能です。何かの病気で入院中であれば、院内にいるソーシャルワーカーに相談してみましょう。
在宅医療にかかる費用
医師による訪問診療(月4回)、看護師による訪問看護(月8回)で計算すると、約12万円となり、1割負担なら月1・2万円となります。必要に応じて、薬や交通費が別途かかります。訪問回数は、医師や看護師、担当ケアマネとも話し合って決定し、持病や状態によって減らすこともできます。原則として医療保険が適用されるので、後述にある高額療養費制度の対象となり、上限額以上の支払いはありません。
在宅医・訪問介護師・訪問薬剤師の役割
在宅医
- 認知症、パーキンソン病、脳卒中、その他病気の継続的な治療
- 床ずれの処置
- 末期がんの痛みの緩和
- 在宅人工呼吸療法
訪問看護師
- 健康状態の観察
- 医師の指示による医療処置
- 床ずれの処置
- 服薬管理
- 緩和ケア
- 介護者へのアドバイス
- 在宅酸素
- 人工呼吸器など医療機器管理
訪問薬剤師
- 薬の配達
- 薬の飲み忘れを防ぐための提案
- 飲み忘れた残薬を整理し、使える薬を再利用する
- 服用が同じタイミングの複数の薬を1袋にまとめる
- 散剤から錠剤へと医師に提案する
- 複数の病院からの薬の重複を整理してくれる
- オブラートや嚥下ゼリーなど、薬の飲みやすさを提案する
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」