
結論
親の一人暮らしはプラスに働くこともある
親と離れて介護することは親にとってもメリットがあります。精神科医の高橋幸男氏は「一人暮らしの認知症の人は、家族と暮らしている人より、BPSD(行動・心理症状)が軽い印象がある。興奮や暴力は少ないし、介護拒否も多くない」と述べています。認知症の症状は、周辺環境に大きく影響されるため、口うるさい家族が近くにいると、親のBPSDも重くなります。つまり、離れて暮らすことには、症状緩和のメリットがあるのです。また、親自身も認知症の症状には不安があるので、介護保険サービスの利用を拒否せずに、すんなり受け入れてくれる場合が多いです。さらに、子と離れて暮らすということは、親が自分で家事をこなす必要があり、結果として筋力も保たれます。
介護への後悔をリセットできる
親と24時間一緒にいると、つい怒鳴ったり、失敗を責めたりしがちです。そんな自分の言動に後悔し、反省することもあるのですが、同居していなければ、必ず親の家を離れる日がやってきます。そこで一旦、親と距離を置くことでリセットされますし、次に親に会ったときは、優しく接しようという気持ちにもなります。同居していると、気持ちのリセットが難しく、離れているからこそのメリットと言えます。認知症の親と離れて暮らす不安は、あります。しかし、介護保険サービスを利用しながら、親が自立した生活を送ってくれるのなら、BPSDが軽くなり、認知症の進行もゆっくりになって、元気でいられる期間は長くなります。離れて暮らすことは、デメリットばかりではなく、メリットもあるのです。
別居介護のメリット・デメリット
メリット
- 親の認知症の症状は安定する
- 親の介護拒否が少ない
- 人に頼らないと介護が成り立たないので、周囲や社会から孤立しにくい
- 自分と親の生活空間を分けることができる
- 親は自立した生活を続けられる
※人の力を頼ることができ、親の生活も、自分の生活もそれぞれ守りたいという方は、別居介護向きです。
デメリット
- 親の介護のため、交通費がかかる
- 親が病気で倒れたとき、すぐに駆け付けられない
- 親と離れて暮らしているため、常に不安な気持ちになる
- 親を置いてきてしまう罪悪感がある
- 通いの介護のため、介護できない日も多くなり、自分の家族にも負担をかける
※どうしても他人に介護は任せられないという人は、同居で介護をした方がいいでしょう。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」