認知症の症状は、「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の組み合わせで出現します。中核症状とは脳の神経細胞の破壊から起こる症状で、最近の記憶から忘れていく記憶障害や、今がいつか(時間)、ここはどこか(場所)、この人は誰か(人物)が分からなくなる見当識障害などがあります。

結論
中核症状と行動・心理症状(BPSD)
中核症状の二次的な症状として、行動・心理症状があります。行動症状には、些細なことですぐ怒り出す易怒性や、介護者を悩ませる暴言・暴力があり、心理症状には、自分で片づけた場所を忘れ、家族が盗んだと勘違いする物取られ妄想や、いないはずの子どもや虫が見える幻覚などがあります。
家族は、中核症状よりも、BPSDによって介護負担が大きくなります。そのため、医師も中核症状ではなく、BPSDをどうコントロールするかに注力した治療を行います。BPSDは、親の元々の性格や人間関係、生活環境なども関係するため、症状は人それぞれです。
解説
親のBPSDを改善する
前述で紹介したように、4大認知症ごとに現れる症状に特徴があります。
親が元々どういう性格で、どういう人生を歩んできたのかを、一番理解しているのは家族です。そのため、医師や介護職には分からない、BPSDの原因や背景を推測できることもあります。
認知症自体は根治できなくとも、BPSDは家族が親との接し方を工夫したり、親が生活しやすい環境に整えたりすることで、症状が改善される場合もあります。
認知症の代表的な症状と家族が困ること
【暴言・暴力】
急に怒りっぽくなり、家族との関係が悪化する
【ひとり歩き(徘徊)】
外出目的を忘れ、自分の居場所が分からなくなるため、結果的に行方不明になる
【妄想】
実際にないものが見えたり、聞こえたりするため、家族は否定するが、親にはしっかり見えている
【無気力】
やる気が起きず、食欲もないが、家族は元気な頃を知っているので落ち込む
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」