認知症と診断される前に、MCI(軽度認知障害)と呼ばれる段階があります。認知症予備軍とも言われ、認知症ではないけれども、同世代の人と比べてもの忘れの程度が強くなります。厚生労働省の推計では、MCIの方は全国に約400万人いると言われ、認知症の方の約462万人とほぼ同数です。MCIになったからといって、すべての人が認知症に移行するのではなく、46%の人は健常な状態に戻るというデータもあります。そのため、MCIの段階で見つけることができれば、認知症の発症を食い止めたり進行を遅らせたりすることができます。
結論
認知症予備軍から健常な状態になることも
とはいえ、残念ながらMCIの治療法は確立されていないので、薬の処方ではなく、生活習慣や運動、食事の改善などに努めるしかないのが現状です。
解説
MCI 4つの特徴
- 他の年代の人に比べて、もの忘れの程度が強い
- もの忘れが多いという自覚がある
- 日常生活にはそれどど大きな支障はきたしていない
- もの忘れがなくても、認知機能の障害(失語・失認・失行・実行機能の障害)が1つある
MCIテストを受けてもらうための工夫をする
認知症とMCIの違いは、親が自立した生活を送れるかどうかで判断されますが、次表にあるMCIテストを受けてもらうといいでしょう。電話によるテストや微量の血液検査などの方法がありますが、いずれも保険適用外となります。
この段階で親は、自分がMCIだと思っていないことが多いです。また、親と離れていると、会う機会も少ないので、何年にもわたって、テストが受けられない可能性もあります。親を心配する気持ちを伝えたり、親が信頼している人から声をかけてもらったりして、親の自尊心を傷つけないよう工夫をして、テストを受けてもらいましょう。親が早めにMCIを理解すれば、運動や食事の改善に意欲的に努めてくれるかもしれません。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」