解説
まずは転倒しない住環境を整える
東京消防庁の高齢者の救急搬送データ(2018年)によると、転倒・転落による救急搬送が、全体の約8割を占めています。また、転倒場所は屋内が9割と圧倒的です。認知症の場合、認知症でない人と比べて、2倍以上転びやすいと言われています。認知機能の低下で注意が行き届かないこと、認知症の薬による立ち上がりのふらつきなどが原因です。屋内の転倒対策を、次図にまとめました。離れて暮らす親の家をチェックして、転倒しない住環境から整備しましょう。また、ヘルパーさんなど家に出入りする人に声をかけ、床にモノを置かないなど、親が転ばない住環境を維持することも大切です。ただし、バリアフリーが過ぎると、親の筋力強化の機会まで奪ってしまう可能性もあります。転倒事故が起こりそうな場所から、重点的に対策してください。手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸等への扉の取り替えなど、介護保険の住宅改修費の支給対象に該当する場合もあるので、改修依頼の前にケアマネに相談してください。
転倒を予防するグッズ
転倒を予防するグッズもあります。転倒予防靴下は、筋力が低下したつま先を補強し、歩行時につま先が自然と上がるようになっており、小さな段差でつまずきにくくなります。また、ヒッププロテクターを利用すれば、大腿骨骨折の予防にもつながります。ただし、転倒予防グッズは、認知症の親が継続して使ってくれなければ意味がないので、部屋の中で転ばない住環境を整えることが先決です。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」