親が同じことを何度も言う、趣味嗜好が急に変わるなどの代表的な認知症のサインは、子の短期間の滞在中には現れないことがあります。たまにしか会わない子やその家族を、親は客人のように考え、緊張感からしっかり応対してしまい、いつもなら出るはずの認知症のサインが現れないことがあるのです。
結論
親の言動より生活環境から認知症を探る
親の言動を探るよりも先に、生活環境から認知症のサインを探ってみてください。生活環境には、それまでの親の生活歴が反映されているので、言葉や態度で取り繕うことができません。
例えば、実家に帰ったら冷蔵庫を開けて、食料品の消費期限をチェックしてみましょう。消費期限のだいぶ過ぎた食べ物や腐った野菜が残ったままなら、日付を理解していないかもしれません。また、同じ食材が家中にいくつも点在していることもあります。
解説
認知症のサインを見つけても指摘しない
久々に会った親の生活環境に異変を感じたら、最初は指摘せずに、子が自分の考える正常な状態に整えてみましょう。しばらくして実家に帰ったとき、次表「短い滞在でも見つけられる認知症のサインの例」で挙げたような状況が目についたら、今度こそ認知症のサインかもしれません。
多くは、「あのとき、そういえば変だった」と、あとになってから親の異変に気づくものです。親も取り繕いますし、子も年相応の老いと考えがちです。そうならないためにも、日頃から意識して、親の生活環境の変化に目を光らせておきましょう。この段階では、親は自分が認知症とは思っていませんし、正面から指摘してもケンカになるだけです。
短い滞在でも見つけられる認知症のサインの例
- 冷蔵庫に消費期限切れの食材がある
- 食器棚の食器が乱雑である。食器の洗い忘れがある
- 料理の味、料理に入れる食材が変わった
- いつも飲んでる薬の飲み忘れがたくさんある
- 部屋のカレンダーが数か月前のままである
- いつも用意するお年玉・おこづかいを渡さない
- お財布の小銭入れがパンパンである
- 払い忘れている請求書や督促状がある
- ゴミの分別ができていない。収集日に廃棄しない
- 車や車庫にぶつけたような傷がある
物忘れ外来を受信する前に準備すること
- 親の様子がおかしいのはいつ頃だったを書き留めておく
- いつ頃、どんな認知書いうのサインがあったかをまとめておく
- 今までに大きな病気をしているか確認する
- 治療中の病気を確認しておく
- お薬手帳を持参し、現在飲んでいる薬を確認する
- 家族として困っていることを書き留めしておく
- 介護保険の申請をしているか確認する
※親の訴えだけでは、医師は正確な判断を下せないこともあります。気づいたことは医師が読みやすいようA4 1枚程度のメモにまとめておくとよいです。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」