解説
亡くなる1週間前からサインが現れる
看取り期を迎えた親は、個人差はありますが、亡くなる1週間前くらいから、次表にあるような様々な身体の変化やサインが現れます。初めて見る親の変化に驚き、気が動転し、落ち着かないかもしれません。しかし、こうしたサインをあらかじめ知っておくことで、心の準備ができますし、親と落ち着いて向き合うことができるかもしれません。少しでも心に余裕があれば、親の最期を覚悟したり、懐かしい思い出を回想したり、親と一緒にいる時間を大切にできるので、残された貴重な時間をムダにせずに済むかもしれません。
亡くなる前の兆候
一週間前
- 食べられなくなる
- 眠っている時間が長くなる
- 飲み込みが悪くなる
- 一時的に元気になったり、意味不明な言葉を発したりする
- 体を動かし続けることがある
3日前
- 尿が少なくなる
- 口が乾燥し、言葉が出にくくなる
- 痰が絡み、ゴロゴロする
- 手足が冷たくなり、紫色になる
旅立ちの日
- 手足が冷たくなる
- 顎を上下にさせながら呼吸する
- 耳は最期まで聞こえる
- 呼吸が荒くなったり、ゆっくりになったりする
認知症はロング・グッドバイ
アメリカでは、認知症のことをロング・グッドバイ(長いお別れ)と言うこともあります。親の認知症が徐々に進行し、できないことや分からないことが増えていく、そのプロセスを間近で見る家族にとってはまさに、親がゆっくりと遠ざかっていくような長い長いお別れなのかもしれません。前述でご紹介した、介護をする家族がたどる第4ステップの『受容』に到達している皆さんなら、亡くなる1週間前のサインよりはるか前から、このときを覚悟し、受け入れる準備ができているように思います。しかし、死が近い親の姿を目の当たりにして、受け入れていたはずの気持ちが揺れ動くかもしれません。納得できる最期を迎えられた家族は、そうでない家族と比べて、亡くなったあとの後悔は少ないと言われています。サインと向き合いながら、残された時間の中で何ができるかを考え、後悔のない看取りにしましょう。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」