解説
人生会議は親の意思表示ができるうちに
認知症の祖母の子宮頸がんが見つかり、医師から余命半年と告げられたときには、祖母は自分で意思表示できる状態になく、孫のわたしが中心となって、治療方針や延命措置といった重大な決断を家族の代理で行いました。正解のない命の代理判断は、精神的負担が重く、今でもこれでよかったのかと後悔することもあります。認知症が進行する前に、親が大切にしていることや希望する医療・ケアについて話しておかないと、いざというとき病院や施設から親の意向を求められた際に悩むだけでなく、子の都合や医師の治療方針を優先してしまう可能性もあります。人生会議とは、人生の最終段階において、どんな医療や介護を受けたいかを自分自身で考え、信頼できる人と話し合っておくことを言います。人生「会議」という言葉どおり、親や家族だけで考えるのではなく、信頼できる人や医療・介護チームと、話し合いの場を持たなければなりません。
人生会議は1回で終わらない
人生会議の特徴は、繰り返し話し合いを続けることです。そして、動画やメモなど、毎回記録に残しておくことも大切です。会議を繰り返す理由は、親も子も意思が揺れ動くからです。医師やケアマネなどの専門職から、様々な選択肢が示され、その都度迷います。延命を希望していなかったものの、やはり延命措置を行おうと気が変わる可能性もあります。わたしは祖母の苦い経験から、余命1か月と宣告された父の最期は、本人の意思をすべて確認し、希望どおりの最期を実現しました。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」