解説
家族や親族を総動員し、時間やお金を費やして、自己犠牲を払いながら、親の介護をしている方にとって、介護は総力戦なのかもしれません。わたしは自己犠牲を払った介護にしたくないので、この章でご紹介した道具を積極的に活用します。もうイヤだ、介護なんかやりたくないと思うほどの困難に直面したときは、大手通販サイトやお店で、介護に応用できそうな商品を探し、もっとラクできる方法を考えています。わたしが遠距離介護を始めた2012年当時と、現在を比べてみると、見守りカメラが進化し、スマート家電などの新しい製品が登場したおかげで、介護は劇的にラクになりました。おそらくこの先もネットの回線速度は速くなり、便利な道具が増え、誰も想像できないような介護に変わっていくでしょう。こうした最新の道具やツールに対して、苦手意識を持つ女性やシニア世代が多くいるのも事実です。一方で、わたしのブログや講演会にいらっしゃる方の中には、70代女性でスマートスピーカーを使いこなしている方や、電話ではなく見守りカメラを使った親への声かけを実践している女性もいます。苦手意識を持つ方の多くは、導入時の初期設定が分からず、自分にはハードルが高いと考えているようです。しかしこの設定さえクリアすれば、使い方だけ覚えればいいので、まずは初期設定をお願いできそうな家族や友人を、探してみましょう。どんなに離れ、どんなに会えなくても、母とわたしをつないでくれる道具やツールがもたらしてくれる安心感は、遠距離介護の心の支えでもあります。苦手意識というハードルを越えた先には、皆さんの想像を超える大きな安心と快適さが待っています。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」