
結論
呼び寄せは認知症進行のリスクもある
親の認知症が悪化したり、子が介護で通うことに疲れてしまったり、親と離れて暮らすことが不安でたまらないなどの理由で、認知症の親を子が住む地域に呼び寄せることもあります。子の不安は解消されますし、交通費や移動時間も削減され、緊急時にすぐ対応できるメリットもありますが、親はどう感じるのでしょうか?親を呼び寄せることで、住環境が大きく変化し、心身ともにストレスを感じる状態を、リロケーションダメージといいます。特に認知症の場合、子の家に引っ越した途端、トイレの場所が変わって失敗が増えたり、仲のいいご近所や地域サークルとの付き合いがなくなって引きこもったりすることもあります。聞き慣れた方言が聞こえない、知らない道だらけで歩けないなど、新しい環境にとまどい、ストレスにさらされるようになります。介護施設に入居したり、災害等で避難所生活を余儀なくされたりした人も、呼び寄せと同じように住環境が大きく変わるため、リロケーションダメージが起こります。認知症の親にとって、新しいことを覚えたり、環境に慣れたりするのは、不安や恐怖との戦いなのです。
親と同居するデメリット
親を呼び寄せたり、介護のために自分が実家へ帰って同居を始めたりすると、ヘルパーからの生活援助を受けられなくなる場合もあります。また、特別養護老人ホームへの入居の優先順位が下がり、待ち時間が長くなります。不安解消を優先するか、介護保険サービスの利用や施設の入居を優先するか、担当ケアマネとよく話し合って決めてください。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」