結論
成年後見制度でできること
認知症の親の入院や、介護施設への入居など、急にまとまったお金が必要になり、家族が親の銀行口座からお金を引き出そうとすると、銀行から断られ、成年後見制度を利用するよう勧められます。成年後見制度は、親の判断能力が不十分になったときに、不利益を被らないよう支援する制度です。家庭裁判所に申し立てをすると代理人が決まり、親の判断能力によって、後見・補佐・補助と種類が分かれます。代理人の主な役割は、医療機関や介護保険サービスの契約をする身上監護と預貯金の管理を行う財産管理の2つです。現在の制度では、家族ではなく専門職後見人(弁護士や司法書士など)が選任されやすく、職務に対する報酬を支払う必要があります。親の財産額にもよりますが、月2万円以上の支払いが発生し、親が亡くなるまで、継続されます。手続きの煩雑さや費用、親の財産管理に厳しい制限がかかるなどの理由から、制度利用は伸び悩んでいます。親族が親のお金を勝手に使うなど金銭トラブルがある場合は、親の財産を守る意味でも制度を利用して、第三者に財産管理を任せた方がいいケースもあります。
成年後見人の主な役割
財産目録を作る
本人の財産の状況などを明らかにして、家庭裁判所に財産目録を提出します。
今後の予定を立てる
本人の意向を尊重し、本人にふさわしい暮らし方や支援の方法を考えて、財産管理や介護、入院などの契約について今後の計画と収支予定を立てます。
本人の財産を管理する
日々の生活の中で、本人の預金通帳などを管理し、収入や支出の記録を残します。
本人に代わって契約を結ぶ
必要に応じ、介護サービスの利用契約や施設への入所契約などを本人に代わって行います。
仕事の状況を家庭裁判所に報告する
家庭裁判所に対して、成年後見人として行った仕事の報告をし、必要な指示を受けます。
判断能力が低下する前に財産管理を決める
親の判断能力が低下する前なら、前項でご紹介した日常生活自立支援事業、信託銀行に財産保全を依頼するサポート信託、信頼できる家族に親の財産の管理や処分を託す家族信託などが利用できます。判断能力が低下したあとでは、成年後見制度しか選択肢がなくなってしまうので、その前に親の財産管理をどうするか決めておきましょう。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」