
結論
離れて暮らす認知症の親の代表的な心配事として、ひとり歩き(徘徊)があります。「徘徊」とは、目的もなくさまよい歩くという意味ですが、実際は認知症の人は目的があって外出したものの、道に迷い、目的地が分からなくなることが多いため、認知症当事者などから呼び方を変えて欲しいという声が挙がり、自治体でも徘徊という言葉を使わないところもあります。警察庁の調査によれば、認知症やその疑いのある行方不明者数は、年間1万6927人(平成30年度)。しかし、約99%は1週間以内に所在が確認されています。それでも、離れて暮らす子は行方不明の親が見つかるまでは、気が気ではありません。ひとり歩きは、認知症の症状が重い方にも軽い方にもあり、歩行能力が維持されている方に多いです。ひとり歩きをした4割が要介護認定を受けていないというデータからも、介護保険サービスにたどりついていない、あるいは病院を受診していない高齢者が多く存在します。発見までにかかった時間は、半数が9時間未満であり、年齢が若いほど、発見に時間がかかっています。このことからも、ひとり歩きは早期で気づき、通報してすぐ捜索することが大切です。早期発見のコツは、認知症高齢者SOS見守りネットワークに登録しておくことです。未登録者の発見時間は、登録者の2・72倍かかります。心配な方は、役所や地域包括支援センターに、親の特徴など情報登録をしましょう。ひとり歩きした家族が起こした事故や火災が原因で、離れた家族に監督・賠償責任を求められることもありましたが、市が保険料を負担して、被害者である市民を補償するところもあります。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」