介護で仕事を辞めれば負担は増す
介護離職
親が入院、介護を要するようになると、子は「仕事を辞めなければサポートする時間を確保できない」と考えがちです。しかし、辞めてしまえば、経済的に立ち行かなくなる可能性があります。パートで働く人の場合も、年間100万円の収入がなくなれば10年間で1000万円の損失です。自身の老後もすぐそこに見えており、いずれ介護が必要になればお金もかかります。

結論
仕事を辞めて介護に専念しても、通常、親の状態が好転するわけではありません。そんななかで介護一色の生活になると子のストレスは増し、「経済的」にはもちろん、「精神的」「肉体的」にも負担が増加することが次の調査結果からも分かります。
原則、仕事を辞めない覚悟で、さまざまな制度やサービスを活用したいものです。
※「平成24年度 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業」厚生労働省
解説
介護離職後の再就職では年収ダウンの現実
仕事と介護を両立するために転職した場合、働き方や年収の面で厳しい現実が待っているという調査結果もあります。介護のために正社員から転職した人のうち、転職先でも正社員として働いている人は、男性は3人に1人、女性は5人に1人。そして、転職前後の年収を比較すると、男性は転職前の平均が556・6万円なのに対し、転職後は341・9万円と約4割ダウン。女性は転職前の平均350・2万円が転職後は175・2万円と、半減しています。
もちろん、さまざまな事情と考え方があり、必ずしも介護離職を否定するものではありませんが、決断は慎重でありたいと思います。
※「仕事と介護の両立と介護離職」2014年、明治安田生命福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」