特別養護老人ホームでの利用者負担が軽減されるのは、利用者本人と同じ世帯に住む人全員の所得が低く住民税が非課税の場合です。だから、同じ世帯に働き盛りの子が同居していると、通常、補助は受けられません。
では、親が二人暮らしならばどうでしょう?母親は非課税だけれど、父親は課税対象というケースがあります。そんな場合で、母親が特別養護老人ホームに入ったら……?
結論
通常、特別養護老人ホームに入居すると、住民票はホームに移します。なので、母親は単独世帯となり、補助を利用することができました。
ところが、2015年8月から制度が変更されました。補助を受けるには、「配偶者が住民税非課税であること」という一文が追加されたのです。つまり、世帯が別でも、配偶者が課税されているなら補助は利用できないということです(「事実婚」も含む)。
さらに、資産の要件も新設。預貯金で、単身は1000万円以下、夫婦なら2000万円以下でないと補助を受けられなくなりました。
解説
父の相続で母の通帳には1000万円以上ありました
故郷で暮らす母親が特別養護老人ホームに入居中だという50代男性は、「以前は、月々の支払いは6万円未満だったのに、制度が変わってから10万円以上ですよ。父の相続で母の通帳には1000万円以上ありましたからね。何とも割り切れない思いですよ」とため息まじりに話します。
補助を受けるためには、通帳のコピーを提出する必要があります。ごまかせないかって?虚偽の申告が見つかると、加算金が追徴されます。それに「マイナンバー制度」と預貯金の紐付けが進められており、すべて見透かされてしまうでしょう。
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」