前回紹介したように、「回復期リハビリ病院」の入院期間は疾患や傷病名によって日数が決められています。脳梗塞や脳出血は150日以内、高次脳機能障害や脳卒中の重症例は180日以内となっています。
一方、最初に入院することの多い「急性期病院」では、具体的な入院期間が決まっているわけではありません。症状が安定してきたら転院の流れではあるのですが、多くの病院では2週間前後となっているようです。
結論
病院の役割と急患者さんを受け入れる備えが必要ということもあり、比較的早期の退院が一般的になっています。加療が必要な患者さんを無理やり転院・退院させることはないとしているので、疑問があるときはしっかりと医師や看護師へ質問しましょう。
解説
長期入院は利益が少なくなる
14日を超える入院において、1日の費用が段階的に引き下げられます。これは、日本の抱える医療費の増大という悩みに関係しているのですが、要するに長期入院されると病院は利益が少なくなるということでもあるのです。
90日を超える入院は歓迎されない
日本の診療費用は診察や検査、投薬や注射など行った処置に対して加算されていく「出来高払い」というものですが、入院に関しては一般的に「包括払い」と呼ばれる食べ放題や飲み放題と同じような料金設定をとっています。そのため、投薬や点滴、注射や検査などどれだけやっても病院側が受け取る総額は変わりません。それが90日のラインとなっているので、病院側としては長居入院は歓迎できないという結果になるわけです。
病院で亡くなれない時代
人口動態統計によると、日本の2016年の死亡者数は約131万人。そのうち、医療機関で亡くなった人が76%。1976年に「医療機関での死亡」が「自宅での死亡」を逆転して以来、その割合は増加し続けてきました。しかし、2030年には年間死亡者数が161万人に上ると予想されています。30万人の増加。このままでは、都市部の病院のベッドは高齢者であふれ返ることに、、、。国は高齢者の病院死を減らして、在宅や施設での死にシフトする方向に進めています。
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」