皆さんは認知症に対して、どのようなイメージをお持ちですか?認知症になった親は何もできなくなる、住み慣れた自宅での暮らしはあきらめ、精神科病院や介護施設で生活してもらうしかないと考える方も中にはいます。
結論
一番不安に感じているのは親自身
認知症と診断され、大きな不安を抱えているのは、子よりもむしろ親自身です。自分の人生に絶望し、自暴自棄になっているかもしれません。また、誰にも相談できず、孤独や不安を抱え、何も手につかない状況かもしれません。そんなときに親子で読んで欲しい、ある宣言があります。
解説
認知症とともに生きる希望宣言
久々に会った親の生活環境に異変を感じたら、最初は指摘せずに、子が自分の考える正常な状態に整えてみましょう。しばらくして実家に帰ったとき、次表「短い滞在でも見つけられる認知症のサインの例」で挙げたような状況が目についたら、今度こそ認知症のサインかもしれません。
認知症当事者の団体「日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)」が発表した『認知症とともに生きる希望宣言』をご存知ですか?すでに認知症と診断された当事者の皆さんから、すべての人々に向けたメッセージです。
認知症になっても自分の人生をあきらめず、新しいことにチャレンジし、よりよい人生を生きていこうとする、認知症当事者の気持ちが分かります。それなのに、介護する側が親の人生を勝手にあきらめたり、チャレンジする機会を奪ったり、自立を妨げたりしてしまうことがあります。
認知症介護を始めるうえで、まずはネガティブに偏った認知症の情報から脱却して、冷静に親の自立への可能性を模索しましょう。認知症に対する正しい知識や情報を集めることで、親が元気で自立していられる期間を長くすることができますし、親の不安を解消できるかもしれません。
認知症とともに生きる希望宣言 一足先に認知症になった私たちから全ての人へ
自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
「認知症になったらおしまい」では決してなく、よりよく生きていける可能性を私たちは無数に持っています。
自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジをしていきます。
- できなくなったことよりできること、やりたいことを大切にしていきます。
- 新しいことを覚えたり、初めてのこともやってみます。
- 行きたいところへ出かけ、自然や街の中で心豊かに暮らしていきます。
私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力を湧き立たせ、元気に暮らしていきます。
- 落ち込むこともありますが、仲間にあって勇気と自信を蘇らせます。
- 仲間と本音で語り合い、知恵を出し合い、暮らしの工夫を続けていきます。
自分の思いや希望を伝えながら、見方になってくれる人たちを、身近な街で見つけ、一緒に歩んでいきます。
仲間や味方とともに私が前向きに元気になることで、家族の心配や負担を小さくし、お互いの生活を守りながらよりよく暮らしていきます。
認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます。
認知症とともに暮らしているからこそ気づけたことや日々工夫していることを、他の人や社会に役立ててもらうために、伝えていきます。
参照:「親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと」