親が「認知症」と診断された場合、子としても動揺するでしょう。その現実をなかなか受け入れられないこともあります。
結論
親本人も「不安でいっぱい」だと理解する
周囲にいる家族以上に本人が当惑していることを理解したいものです。認知症になったからといって、何でもかんでも分からないわけではありません。これまでと違う自分に気づき、「これからどうなるのだろう」、「家族に迷惑をかけることになるのでは」と大きな不安を抱えていることが一般的です。気持ちが沈み「うつ」のような状況になったり、混乱から暴力的な態度に出ることもあります。
家族としては、それらの行為は「病気」によるものだと理解することが第一歩です。なかには、食事が終わっても何度も要求されたり、仕事中に数十回も電話をかけてこられたり、と対応に困り果てることもあります。対応に苦慮するときは、医師や地域包括支援センター、あるいは保健所でも相談にのってくれます。また、実際に認知症介護を体験した家族の声は心強いものです。家族会などの相談窓口に電話してみるのもいいでしょう。
解説
悪徳業者に注意
認知症と診断された親が一人暮らし、二人暮らしの場合も、身の回りのことができて、火の始末ができるうちは、担当のケアマネジャーらとしっかり相談した上で、介護サービスを利用し、在宅での生活を継続していることも珍しくありません。
その際、病気のケアを行うとともに、悪徳業者にも注意しましょう。全国隅々まで悪徳業者は存在します。特に認知症がある場合、被害にあいやすいといっていいでしょう。多いのは、住宅の手入れや飲食物の販売など。突然訪問して「今すぐ、屋根をメンテナンスしなければ、家が倒壊しますよ」などと不安をあおって不要な工事を高額で行います。健康飲料を売りつけられる例や、呉服店に連れていかれた事例なども数多く聞きます。
健康面や介護面だけでなく、生活全般を見守ることが必要です。不要な契約をした場合などは、クーリングオフ制度を利用できることもあります。消費生活センターでも、相談対応しています。また、社会福祉協議会にも、判断能力が十分でない人が地域で安心して生活を送れるよう支援する「日常生活自立支援事業」のサービスがあります。後で紹介する成年後見制度などが役立つ場合もあるでしょう。
認知症での心配に対応する窓口
- 認知症の専門医
- 地域包括支援センター
- 保健所、保健センター、精神保健福祉センター
「公益社団法人 認知症の人と家族の会」
電話相談:0120-294-456(全国通話無料)
対応時間:10:00-15:00(土・日・祝日を除く毎日)
https://www.alzheimer.or.jp/
悪徳業者などの相談に対応する窓口
- 消費生活センター
- 社会福祉協議会の利権擁護の担当窓口
参照:「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版」